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2018年10月号 山下耕平さんより、おてがみが届きました

はじめまして、こんにちは。
山下耕平と申します。

ふつう、お手紙というと、知り合いどうしで交わすものか、ファンレターなどのように、一方が知っていてしたためるものだと思いますが、このお手紙は、知らない者から知らない方へ、したためるものです。それだけで、何かわくわくします。

知らない人どうしが言葉を交わすこと自体は、めずらしくありません。コンビニでもセールスの電話でも、あるいはTwitterのやりとりなどでも、そういうことはあるでしょう。でも、そのとき、おたがいが何を見ているのかと言えば、その人の肩書きであったり、アカウント情報だったり、いわば外面です。

さて。私が何者かということですが、私は肩書きが何かと聞かれると、いつもとまどいます。フリースクールや若者の居場所などに関わり、編集や執筆の仕事に関わり、大学で非常勤講師の仕事などもしていますが、どれが本業とも言いかねます。ただ、それは私にかぎった話ではなくて、どんな肩書きを持つ人でも、その肩書きや仕事は、その人の一部でしかないのでしょう。でも、ふだん私たちは、その一部である外面だけを見て、わかったように生きています。ちょっと考えると不思議なことです。外面で世の中がまわっていることに、ふと、何かの人形劇を観ているような気になることもあります。

詩というのは、人の外面ではない部分から、あるいは外面の裂け目から湧いてくるものではないでしょうか。それが人の外面ではない部分に響き、共鳴していく。そこから、また、新たな詩が湧いてくる。

私が関わっているところで言うと、「不登校」や「ひきこもり」というのも、同じようなところがあります。学校や仕事といった、世間で認められる肩書きからこぼれてしまって、外面の自分を保てなくなってしまう。それは苦しいことにちがいありませんが、しかし、それゆえに触れることのできるものが、そこにはたしかにあるように思います。

このたび、共著で『名前のない生きづらさ』(野田彩花、山下耕平/子どもの風出版会)という本を出しました。
https://goo.gl/9k5laq

名前(肩書き)がなくて生きづらい、あるいは自分でも名づけようのない生きづらさを感じている。でも、そこには人を共鳴させる何かが湧いている。そんなことを書いた本です。きっと、詩に携わっておられる方には、共鳴していただけるのではないかと思います。よかったら、お読みいただければと思います。

また、私たちは、「なにものかでなくてもよい場所」というコンセプトで、「なるにわ」という居場所を開いています。不登校やひきこもりの経験者にかぎらず、いろんな人が立ち寄ってくれます。毎週土曜日の午後に開いていますので、よかったらお立ち寄りください。
http://www.foro.jp/nar'nywa/

■山下耕平(やました・こうへい)さんって、どんな人?

yama
1973 年、埼玉県生まれ。大学中退後、フリースクール「東京シューレ」スタッフ、『不登校新聞』編集長を経て、現在はNPO法人フォロ事務局長、全国不登校新聞社理事、関西学院大学非常勤講師。著書に『迷子の時代を生き抜くために』(北大路書房2009)、共著に『名前のない生きづらさ』(子どもの風出版会2017)。
ブログ「迷子のままに」http://bokan.blog.shinobi.jp/

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