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2013年5月号 本宮氷さんより、おてがみが届きました

世界を知る

欄の会の皆さん、はじめまして。本宮氷(ひょう)と申します。

私の友人に耳に障害をもった絵描きがいます。絵描きと言っても普段は私と一緒で働きながら絵を公募展に出品している。その出品した日洋展で知り合った具合である。
出会ったころは雪景色をナイフなどで使って、厚く描いていた。興味がわいてきたので、懇親会のときに声をかけた。もちろん、手話なんてできるわけがない。適当に筆談しながら話をした。仕事場がうるさいので、私も難聴気味である。聞こえにくいもの同士の会話だ。それをきっかけに仲良くなっていった。
絵を描くものにはデッサン力が必要なので、裸婦デッサン会にできるだけ参加している。何度か彼も誘って一緒に描いた。来るまではどきどきなのである。本当に来るかどうか確認の取りようがない。遅れてきても、電話で確認できないからだ。耳が聞こえないせいか、人とのコミュニケーションがわからないことがある。約束していた会場に時間通りに来ていないのでメールで確認すると、「家の掃除していたから行けなくなった。」目が点になってしまう。もちろん、罪悪感はない。そんな彼がよくする言葉がある。
「プロになりたい」「たくさんの絵を見て世界を知りたい」
「プロになることはいいけど、そんな絵を売ることばかり考えていないで、今の現実と向き合って絵を描けば、それだけで(ハンディキャップがあるから)すごい絵になるんちゃう?」と言っても馬の耳に念仏。
世界中飛び回って、名画という名画をみて勉強してみたいようである。彼が言う世界を知るとは世界基準を知るということであるみたいだ。
私は世界基準、グローバルスタンダードという考え方には拒否反応が出てしまう。拒否というよりも拒絶に近いかもしれない。私の仕事場は小さな町工場なので、大手の力技の圧力に日々耐えているからだ。製品の単価を下げるためにわざと発注数を半分以下に減らし、飲まざるをえない状況に持ってくる。減らされたほうはそのために2工場あったものが、1工場になった。出向者を強要され、泣く泣く受け入れたら、一年後、客先で内製化があり、倒産しかけたとか。出向者を受け入れた後、乗っ取られたとか。では出向者を受け入れなければいいのではないかという論理があるが、受け入れなければ仕事をストップされて、即倒産する会社はいくらでもあるのである。
それを自己責任と言ってひとくくりにする連中に反感を持つことは当然の結果であろう。だから、世界基準にというものの中にきな臭いものを感じるのでできるだけその土俵に上がらないことにしている。生活できる程度ではあるが。
反して、私にとって世界を知るとはイコール世間を知る、人間社会を知るということである。するとわざわざ世界の果てまで遠く行く必要がない。今いる場所にいればいいことになるからだ。その場所に立ってじっと顔の角度も変えないで見続ければいいのである。
自分はどこで誰から生まれ、今何で飯を食っているか、それだけを見つめ続けることで世界を知ることができるのではないかという気がしている。確証はないが。そこに世間で言う未来志向はない。殺伐としている。
でもそれでも尚、今の自分でできることはないか、役に立てることはないか、そんなことを考えたいと思っている。日銭を稼ぐことに邪魔にならない程度に。
日々の生活に追われているものにとってゆっくりと考える時間と能力は与えてくれない。いろんな人と会って、すでに活動されている先輩方を見て、真似をしようと考えている。
そして、アドバイスをしてほしいと思います。

河原で石を探すように真実を見つけたいです。
それもみんな一緒で、楽しく。
泣きながら、笑いながら。

本宮氷


■本宮氷(ひょう)さんって、どんな人?
take
2003年 小灘一紀先生の画塾の門をたたく(洋画家)
2004年 田中良明先生と出会う(自他合一の人、元宮司、神道、陰陽道など)
      2010年に本宮氷の雅号を命名
2008年 宗安洋先生と交流(奈良・飛鳥の歴史学、クラシック音楽)
2010年 美術モデルHIRO氏と出会う(美術解剖学、美術モデル、翻訳家)
2012年 幼少の頃から知り合いだった流さん(仮名)と交流
2013年 上田假奈代先生と出会う(詩人)


学歴や画歴などを書いてもおわったことですし、
出会った人を紹介させていただきました。
まだ、現在進行形で影響を受けており、まだ他にもたくさんいますが、
魂の大きな人だなと感じた人を絞って紹介しました。

http://blog.goo.ne.jp/icetheworld

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