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2018年2月号 アオキ裕キさんより、おてがみが届きました

日々荒野。
3月に踊った東池袋中央公園は炊出し会場でもあり、ソケリッサ!ではメンバー勧誘を含んだパフォーマンスとして何度か踊った事のある空間。初めて来た時は夏だった。サンシャインやプリンスホテルなど接にそびえ立つ建物に囲まれた公園の奥は、木が鬱蒼と生い茂り都会の谷底のようであった。そしてその空間に膝を抱え休む路上生活の人々の姿は、母なる子宮の安堵の中にいるようにも見えた。「谷底と子宮」僕はこの世の中で生きている。身体に入り混じる不安と希望、悲しみと喜び、日々滅亡と繁栄を繰り返す血がこの中に凝縮されている。

そこに転がる石ころは全てを知っている。
そして僕達はその石ころを蹴っ飛ばす。

今回使用する道具は大きく重い、劇場から毎回メンバーと共に転がしての会場への往復は一苦労だった。地面を眺めながら運ぶ道端、10円玉が落ちていた。メンバーと目があった。僕達はニヤリと笑った。
そこには人がいる。共に過ごし、そして踊りが生まれる。そこに僕は躍動を感じる。

美しく煌びやかで価値のあるものと信じたその景色をふと無意味だと思わせる。きっとこの目の前に広がるのは日々荒野だ。


女流詩人のみなさまへメッセージ
誰かに伝えたいことがあり、言葉が生まれました。きっとそこに至るには身振りや感情表現だけでは伝えられない生きるために必然とした強烈な渇望があったと思います。一つの言葉の中にある壮大なドラマ。詩によって揺さぶられる身体の出現は楽しみです。


■アオキ裕キさんって、どんな人?

aoao
ダンサー/振付家、兵庫出身。東京にてジャズダンスを学ぶ。タレントのバックダンサーなどを経、2001年NY留学時にテロと遭遇。帰国後、自身の踊りの根底、今あるべき真価を追求。 2005年ビッグイシューの協力とともに路上生活経験者を集め、ダンスグループ「新人Hソケリッサ!」を開始。個人しか生めない体の記憶を形成した踊りにより自己肯定を生むなど、社会的弱者への社会復帰プログラム、またダンス教育のアプローチとしても定評を得る。一般社団法人アオキカク代表。
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