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2012年11月号 しまなか こう さんより、おてがみが届きました

この間、電車の吊り広告で、「生きる意味を考える」なんていうフレーズを見ましたけど、考えて意味なんかあってたまるか思ったんです。
生命は、ただそこに在るだけやと、そこに理性でなんしか意味乗せたかて、
存在してる事実、それ以上に勝るもんはないやないですか。

どう生きるかゆうのは、どう死ぬか…ということやと思うんですが、
いつやったか、深夜に河川敷で酔っ払ってサックスを練習しているうちに、足元よたついてたんか、勝手に前に進んで行って、川にはまりかけたんですけど、その時の演奏が、最高やったんです。
死ぬんやったら、こんなふうにごきげんに酔うて足滑らせて次の日、ドブに浮いてたらそれが一番幸せな死に方やな、そう思たとき、自分の生が始まったなあ、と感じました。

死ぬ覚悟で生きてやっと、手にしていくもんがある。
やから、ライブを創り上げる空間は、毎回とてもいとおしいです。
みんな一度しかない人生の時間を、みんなで同じもの見て、感じて、共有して、その空間はみんなの存在を無条件に認め合ってる。一瞬のうちで、それぞれの全生涯を見せる覚悟があり、相手はそれを受け入れている。
やから、意味づけなんかアホらしい。
そこに生きて在る、それだけで圧巻です。

遅滞なく、水が頭から足元に流れて、視線で空気割るようなライブや、情動を解放して、内的なものへと変わるライブが終わった日には、今まで疑問に思ってたこと、悩んでたことが頷けて解決して、一つ自分が進みます。

人生が一回限りであると同じく、ライブも生モノの一回性やからこそ、自ら前に進まなあかん、死ぬまで生きることを生ききれるんやと思います。

■しまなか こう さんって、どんな人?
shimanaka

しまなか こう

大阪府出身 京都西陣在住
即興朗読、演奏者

写真 鬼頭 学
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