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2012年5月号 ユアサミズキさんより、おてがみが届きました

みなさま、はじめまして。
初めてお手紙させていただきます、
福島県いわき市在住のイラストレーター・デザイナーの
ユアサミズキと申します。


絵/イラストを描く事を生業としていますため、手紙を始めとして文章を書くことは決して得意な方ではないのですが、ここ半年、2011年の夏明けくらいから、何故か文章を書かせていただく機会が増えています。
ご存知の通り、2011年3月11日に発生した東日本大震災。私の住む福島県いわき市も大きな被害に見舞われました。今このお手紙を綴らせていただいている時点で既に8〜9ヶ月が過ぎようとしています。少しずつテレビでの報道が少なくなっていったり、原発・放射能の問題のみが取り沙汰されている状況ではありますが、地震そして津波の被害からも完全に立ち直っているワケではなかったりもしています。。。そんな折りその復旧・復興に向けた状況を記録や記憶に残すために文章を書かせていただく機会が増えたりしています。

もちろんイラストレーターという立場で言えば、その想いを絵で表現するのが一番てっとり早かったりもするのですが、思い浮かべるモチーフが不安や怒りや悲しみといったネガティブな方向だったりして…。イラスト描く上ではハッピーな作品を残していきたいな…との想いもあり、なかなか今回の一連の事を絵にできないままでいます。そんな中、何度か機会をいただいている文章を書くプロセスは、ある意味で自分の今の想いを自由に発散させてもらえる場所だったり、また、文章を書く事で自身の頭の中身が整理されたりと、今になって改めて、とても重要な表現手段なんだな…と思っています。

イラスト描く上では、大きな構図やモチーフを決めて下描きなどした後には、ある1つのゴールを目指してひたすら作画する…といった感じなのですが(もちろんそれぞれの作家さんで手法は異なると思うのですが、私の場合特に)、詩人の皆さま宛のお手紙に書くのも何やら恐縮なのですが、文章を書く上で一度書いた文章を振り返ってみたり、付け加えてみたり、表現を変えてみたりしながら最終的なカタチにまとめていく作業は、いい意味でイラストレーションとは異なる工程だったりしていて、楽しみながら書かせてもらっています。


とは言え、かと言って、文章だから少々ネガティブな話もガンガン書けるか?と言うと決してそうでもなく。書いてて自分で暗くなっちゃうからなのかもしれませんが、文章で書く時もなるべく明るい事や次に向かって進んでいく事をテーマにして書いています。震災後からずっと、本当に沢山の皆さまからご心配をいただいて、大変ありがたく、嬉しい事なのですが、同時にどこか申し訳ない気持ちもあったりしています…。被災地にいて、生活の状態や経済の状態がそれまでとは大きく変わったりしても、それまでと同じ様に仲間が集まれば酒も飲むし大声で笑ったりもします。今まで以上にナイスな街にしていくにはどうしたらいいのか?の白熱した前向きな議論が交わされています。そういった事もちゃんと伝えていけたらなぁと思っています(もちろんそれどころではない位に大変な状況の皆さまがいらっしゃるのも事実なのですが)。震災後本当に沢山の方が、同いわき市にもお越しくださり、多くの方とお話させていただく機会があるのですが、そういった時にも「大変だったり過酷だったりの状況の話以外のこうしたハッピーに過ごしている面」も土産話として持って帰ってもらいたいとお話させてもらっています。


震災からまだ日が浅かった時期に、仲間のバンドが主催する地元のライブイベントがあり、会場でフリーマーケットを同時開催しその売上げを寄付する活動をしていました。そのバンドの演奏中のMCでこんな事を言っていました。今は東北、福島、いわきが大変な時期だけれど、それまでもこれからも、きっと日本中・世界中のどこかしらで誰かが困っていて、今回大きな震災があったから地元で助け合う…ってだけではなく、同じ気持ちを常に持ち続けて、助け合い続けられる世の中になるといいね…と。

今回の震災で、阪神淡路エリア・新潟中越エリアの皆さんから真っ先に心配していただき、支援していただいた事が、まさにそう言う事なのかな?と想っています。いつか、何かしらのカタチで恩返ししていけるように、優しい気持ちを持ち続けていけたらと想っています。


突然のお手紙、お読みいただいてありがとうございます。
また、お手紙します。

湯淺瑞樹

■ユアサミズキさんって、どんな人?


鳥取県出身、福島県いわき市在住のフリーイラストレーター・デザイナー。カワイらしいのからクールなテイストまで、強い線を持ちつつも柔らかい色使いのイラストを得意とする。オリジナル作品では繊細な女性画を手がける一方、雑誌・ポスター・Web・ゲーム・音楽系アートワーク等 メディアを問わず幅広いテイストのイラスト作品で活動中。似顔絵やウェルカムボード、ロゴデザインを含むグラフィックデザインも手がけ、近年では各種イベント会場でのライブペインティングにも力を入れている。

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2011年6月号 大河原万唆博(おおかわらまさひろ)さんより、おてがみが届きました

 「おわらぬもんもん」

こんにちは

無口で声の小さな大河原です。
無口だから声が小さくなったのか、
声が小さいから無口になったのか
無口になった経緯はよくわかりません。
子どものころからそうでした。

カラオケではわりと大声なので大声を出す能力はあります。
だからたぶん気持ちの問題。
「何かしっかりしたことを言わなくちゃ」
「僕の小さな声で伝わるのだろうか」
などなど気にしすぎているうちに
声に気がまわらなくて小声になる。
そういうメカニズムな気がします。
カラオケみたいに「歌うだけでよい」
という状況になれば大声も出るのでしょう。

そんな風に僕はいつも小さなことを悶々と悩んでいます。
悩みがたくさんあってスッスッと入れ替わっていって
そのうちに何に悩んでいるかわからなくなって
「自分には悩みがないんじゃないか」とあっけらかんとした気分になることもあ
って
そんなことをしているうちに
大事な仕事をするのをわすれていたりして
「ホントにもう…だめだなぁ」という気分になってしまう。
何に悩んでいるかはわからないんだけど、
悩みの微粒子がたくさん舞って僕の視界を曇らせている感じ。
パーッとスッキリ晴れやかな気分になりたいです。

先に言ったカラオケ、
それから音楽のライブにいってワーと騒いで踊る、
そんなことをしているときはあんまり悩みがないかもしれない。
だから普段でもその時やっていることをワーと一意専心に楽しめば
スッキリした気分でいられるのかもしれない。
わりと簡単そうなのに
なんでできないんだろう?

と、この文章を書いている間は
悩みのないクリアなひと時をすごせました。
悩みのことだけ考えたってことかな。

こんな風に頭の中にイメージをきっちり作っていくと
悩んでいる自分を俯瞰してみることができるようになって
パーッと急激に世界がふくらんでいくような感じがある。
視野が変わって、まわりのいろんなことに気づくようになる。
「おぉ新発見!」
「あぁ、これはおもしろい」
といろんな気づきを収集していって
収集しすぎて頭がパンクしていって
なにがなんだかわからなくなっていって
スタートに戻る
悶々

こんなことってないですか?
僕って変ですか?
悩んでます。

おわり。…いやつづく?


■大河原万唆博(おおかわらまさひろ)さんってどんな人?

ookawara

「映像発信てれれ」で何やらいろいろやっております。
「関西ゲリラ放送局」でも何やらいろいろやっております。
貧乏猫好き。


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