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2011年5月号 青池 茉由子(あおいけ まゆこ)さんより、おてがみが届きました

こんばんは

元気にしていますか。

 

私は少し憂鬱です。

 

今、書いてからふと思いましたが、

「憂鬱」だなんてお手紙に書いたのは、

生まれて初めてかもしれません。

 

「めでたき憂鬱な手紙」第1号です。なんて。

 

外は雨です。

 

「たまには静かな、ひっそりとした時間もいいものなのよ。」

そんなことを囁きあって、雨は降っているんだと思います。

相変わらず私は能天気で、あまりにへらへらし過ぎているからね。

 

最近はこんな

都合の良い「もの思い」に耽ってばかりいます。

本当にたわいのない「もの思い」ばかり。

 

感じることが

次々と

ゆらゆらと

移ろって仕方がありません。

 

両手でしっかり包み込んで強く信じたものが 

あっという間に粉々の砂になって

指の隙間を流れて、風にさらわれてく。

 

あっという間にほどけて

形も色も変えて

その場から消えてなくなる。

 

これまで

何度も何度も感じてきたし、

移ろいやすいことは

わかっていたつもりだった。

 

なのに今になって

ものすごく近くで感じてみたり

少し遠くから眺めていたりするのは

どうしてだろうなと思うのです。

 

「消えてなくなる」って書いたけれど

消えてなくなることなんてないってことは

ちゃんとわかっています。

 

見えないくらい細かくなった

さらさらの一粒一粒には

どこかにたどり着く場所がきちんとあって

 

また新しい種を包み込む土や空気や光のひとつになっているはずなのです。

そうあっていてほしいと願っています。

 

変わらない何かがあって

だから変わるものがあるって

そんなことも漠然と感じます。

 

ただきっと、自分に戸惑っているだけです。

 

 

 

そうそう、話はかわりますが

最近「種」を集めています。

 

とても美味しかった果物の種なんかを少しずつ集めて、

気に入った土地を見つけた時に植えようという企て。

 

今はまだ1種類。

去年の秋に仕事場の柿の種が沢山とれました。

今数えたら72粒ありました。

 

でも、もし72本もの柿の木が生えて大きくなったりしたら

さすがに全部育てるのは大変そうなので、

そろそろ違う種を集めようとしています。

次は何にしようかな。

 

なので、もしよかったら柿の種、少しだけもらって下さい。

(お菓子の方じゃないですよ)

近々、ちゃんと芽が出るのか確かめておきますね。

 

では、この辺で。

さっきはノートの走り書きのよな曖昧な文ばかりでごめんなさい。

 

きっとあなたなら軽く読み流してくれるかも

なんて思って

書いてしまったのだと思います。

最後まで読んでくれてありがとう。

あなたは最近、どんなことを考えているのかな。

 

これを書いているうちに、

憂鬱っていう言葉が

似合わなくなってきちゃったみたいですね。

 

いつかまた会える日を楽しみにしています。

では

 

 

青池茉由子

 

 

追伸:

 

蘭の会の皆様、はじめましてです。

今回は、女流詩人の皆様へお手紙を・・・との素敵なお話を頂いて、

なんだかとても嬉しくなり、

もともと知っている友達へ想いを綴っているかのように

書いてみたくなりました。

少しでしたが、嘘と本当の間の手紙をかくのは

私にとってとても愉しい時間となりました。

ありがとうございました。

 

 

   青池 茉由子(あおいけ まゆこ)さんってどんな人?

1985年 北海道出身 

 

大阪の堺にある鋏鍛冶(はさみかじ)『佐助』にて職人の補佐 勤務。

気のむくのまま・出会いのままに「ものづくり」を続けている。 

 

『佐助』 www.sasuke-smith.com

 

イラスト・冊子編集・webデザイン・ガラス制作・手書き文字・

花・言葉・音・虹色・夢・唄・ウクレレ・木登りなど

 

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