www.orchidclub.net LB

2014年10月号 猫まみれさんより、おてがみが届きました

礼状書き(富山弁編)

数日前、9年勤続の職場を派遣切りにおうた。
元同僚女子18名からお花もろた。
男子はゼロ。
別にいいがやけど。
今、そのお礼の手紙を書いとる。
ひとりに便せん1枚づつ書いとる。
書くことたくさんあり過ぎて、文字小さなってしもた。
私より字汚い人、日本語書ける人のうち0.3%未満かもしれん。
読みにく過ぎやわ。
時々、自分の書いた字ながに、なあん読めんわ。
読めんだら、気合いで解読してくれんけ。
悪いがやけど。

で、7名分書き終えたがやけど、はや手首ちょっこし痛なった。
それぞれへの書き出しちゃ、まず相手の名前。
続けて、お花のお礼やね。
全員分微妙に言葉が違ってった。
続いてそれぞれの人たちへの言葉、それぞれ。
それぞれの人たちと私との間に紡がれてきてった物語。
書き始めてみたら、物語の方からこっち寄ってきた。
自分がコスモスの花の、えらそやけど真ん中の花粉密集地。
放射状の花びら一枚一枚がそれぞれとの物語。
花びらの先のどっかが、その人たち。
花びらの先のどっかは、どこやろか?
地球の外側かもしれん。
今吸おうとしとる酸素の塊かもしれん。
18名女子は、なに者やったがやろ?
それはようわからんけど、思いだけは込める。

花びら18枚の珍種のコスモス。
普通は8枚らしいけど。
その花びらを一枚一枚指でなぞる。
過去の物語を指でふたたび感じとる。
触感がことばを運んできとる。
運ばれてきたことばが、便せんに転写されてく。
イタコ状態。

書いた、18名分。
なんかほんま幸せやね。
手首はもっと痛くなっとるはずながやけど。
幸せ気分に痛み止め効果あるがかも。
いいがいね、イタコ気分。

18名分の手紙は、私書いたがじゃない。
書いたけど書いとらん。
ペンが勝手に動いてった。
こっくりさんが10円玉走らせるみたいに。
私はただペン先を便せんにのせとっただけ。
女子18名それぞれとの思い出を浮かべとっただけ。
私がしたがはそれだけ。
飲まず、食わず、息だけはしとったと思うけど。

思いは私ながじゃない。
私の一部ながでもない。
どこから私に突然やってきたかもわからん。

ただ、なんやろね。
手紙書いとる間、私そこに、おった記憶無いが。
でも、何かが自分を通過しとるな、と思た。
自分でないもんが私を動かしとるみたいな。
私、その間、とんでもなく幸せやった。

18名のこと考えながらの、そのための手紙やったがに、
手紙書いとるときの私は不在で、
でも気いついたら、伝えたかったこと、確かに書いてあったがやぜ。

実は詩人さんたちって、万年イタコ時間の住人かもしれんね。
人よりずうっと長いがかもしれん、
幸せ感じられる時間が。
心込めて書いとってやがやもん。
あんたらっちゃ、いいがいね。
ほんま、いいがいね。


■猫まみれさんって、どんな人?

kyouko
猫まみれ
短大家政科卒。女子寮生活。新卒就活し損ない25歳まで富山県内でバイト点々&地元大学のミニコミ誌製作参加&簡単な資格取得オタク。25歳で家出を兼ねてアジア5カ国半年放浪。帰国し東京で1年バイト掛け持ち後、英国系通信社の雑用事務係として派遣から正社員。外国人多いシェアハウス在住。30歳で渡米しユダヤ系アメリカンと結婚。学生&販売職。音楽&映画&猫&鬱三昧の日々。40歳で離婚し富山へUターン。9年間電話予約事務の派遣職。放送大学人間と文化コース卒。派遣切りの現在。

無職 | permalink | - | -

2011年11月号 猫君より、おてがみが届きました

 猫君の生い立ち
 

吾輩は猫である。名前は秘密だ!生まれは関東地方の東京である。詳しい場所は言えない。二十歳を過ぎてから今日まで日本(川崎等)で一般では3K(危険・汚い・きつい)と言われる建設業で働いた経験が5年位あり、現在に至る。こっち(大阪)に来てからも、スポ−ツ新聞(スポニチ)を見て大阪市内の建設会社の寮に住み込み(契約)で工事現場で仕事をしていた。その後、ミナミ(難波)周辺で野宿(ホ−ムレス)をして、船場近辺の会社から出た段ボ−ルを朝9時頃から夕方5時頃迄集めて日本橋にある段ボ−ル会社に売って1日稼いでも1000円未満で小遣い程度を稼いでいた。この仕事(段ボ−ル集め)は5〜6年位?やっていた。そして、西成区にある大阪市立厚生相談所で紹介され、天六(天神橋6丁目)にある一時保護所に一時入って居て、港区にある港晴寮に5〜6年居た。港晴寮で働いている指導員(STUFF)に追い出され、仕方なく、段ボ−ルを集め出した。その1週間後位に、又巡回相談員と高島屋のある辺りで再び偶然出会い、声を掛けられて、今度は西成区にある三徳寮に入り約5年位生活していた。そして、三徳寮を出る時、三徳の指導員(STUFF)に今、住んで居る家を紹介して貰った。入ると同時だったかどうだか忘れたが、生保(生活保護)を西成区役所へ申請をしに行った。2〜3年後かどうか覚えていないが、6月5日のココル−ム祭りでここ(ココル−ム)の人達と知り合い、こころぎに行く様になった。それから1ヶ月位後、ココル−ムの経理の仕事の打ち込み作業を手伝う様になり、今に至る。ここに居ると落ち着くニャ〜

 
 

■猫君ってどんな人?

名前 猫

今日も元気だ!ビ−ルが美味い!

ココル−ムの人達によくダジャレを言っては受けを狙っている!

趣味:旅行・カラオケ・・・       

好きな食べ物:カレ−ライス・・・ 

特技:ダジャレを言う事

 
無職 | permalink | - | -

2011年4月号 テラカワダイチさんより、おてがみが届きました

テラカワ ダイチ

 

無職か喫茶店をしながら楽しく日々を過ごしています。

現在は某所にて食べ物と飲み物を作っています。

寝る場所と食べる物があれば幸せです。

あとはタバコとコーヒー、話をする人がいれば最高です。

 

 

かれこれ一ヶ月の間 蘭の会のサイトを開いては詩を読み

そのたびに手紙を書いては消していましたが

とうとう出すべき時が来たようです

 

ディスプレイの前の皆様

おはよう こんにちは こんばんは

何時 何処でこの文章を読んでいるでしょうか

 

2011471438

あ 39分になりました

大阪某所でこの文章を打っています

 

さて 何を書こうかな

 

ああ 1502分になってしまいました

コーヒーもだいぶぬるくなってしまいました

タバコの煙が鼻をくすぐります

やはり書いては消してしまいます

 

ウェブ上に文章を残すと時間や場所に関係なく残り続け

見知らぬ誰かに届くというその在り方が面白いと感じます

蘭の会の皆様の詩も自分の想いを見知らぬ誰かに届くように

それともたった一人の誰かに届くように

書かれているのでしょうか

 

私が最近書いた手紙の話でもしましょうか

 

白い紙を目の前にして ペンを持ち 三日過ぎた頃に

多くの言葉が溢れ 残った言葉は たった一言

『楽しく生きています』

その言葉と万年筆とマスキングテープを同封して送りました

 

2011471537分になりました

そろそろ一時間たちますね

 

読んでくださった皆様に感謝を

それではこれにて 失礼いたします

 

 

   テラカワ ダイチさんってどんな人?

 suna1


主に神戸界隈の喫茶店で仕事をする。

20101131日に電話がかかってくる。

20101201日からココルームのカウンターに立ち、現在に至る。

 

寝る場所と食べる物があれば幸せ。

あとはコーヒーと煙草、話をする人がいれば最高。

無職 | permalink | - | -

2010年12月号 安藤久雄さんより、おてがみが届きました

「ペンシルマザー」

 こつこつこつこつ…。
 
 ママはこんやもかかとのとがったくつ。

 こつこつ、ちゃりん、がちゃがちゃ、がっちゃん。

 おかえり、ママ。

 きぃー、ばったん、ぺたぺたぺた、がさがさ、ばふー。

 ママのおとはこんやもくたくた。
 それでもかいてね、わたしへのてがみ。
 えんぴつきれいにけずっておいたし、
 わたしはこのままめをあけないし、
 だからむりしてわらわないでね。

 あのうた、うたうようにかいてね。
 
 とんとんとんとん、とんとんとん。

 うん、そうなの。
 あめがやんだからすべりだいにのぼったの。
 あんなにおおきなにじはじめてだったから、
 ママにもみせてあげたかったんだけど、
 あんまりおおきいもんだから、
 ぽっけにもかばんにも、
 バスにだってはいらなかったの。
 
 だから、こんどいっしょにさがしにいこうね。

 とんとんとんとん、とんとんとん。

 うんうん、そうなの。
 ママがおふとんのカバーでつくってくれたスカート。
 わたしのいちばんおきにいりのスカート。
 ずっとむりしてはいてたんだけど、
 いきをぜんぶはいておなかをへこませても、
 みきちゃんにおもいきりひっぱってももらっても、
 もうチャックがしまらなくなっちゃったの。

 だから、またこんどいっしょにつくろうね。

 とんとんとん、とんとん。

 ううん、だいじょうぶ、きにしないで。
 わたしがおねぼうさんじゃなかったら、
 ママに、おはよう、いってらっしゃい、いえるのに、
 わたしのほうこそごめんね。
 
 だから、あしたはいえるように。

 とんとんとん、とんとん。

 うん、わたしもママがだいすき。

 とんとん、とん。

 おやすみ、ママ。

         
            おしまい


 いやいや、おしまいちゃいますね。
 はじめまして、詩人のみなさま。
 わたくし、安藤久雄というものです。
 お手紙と聞いてこのようなものがたりを思い浮かべてまう、
 まぁ、そないないきもんです。

 この果てしなくだだっ広い世界には、
 大海のまんなかで見上げる星々ほどのツールがあるとゆうのに、
 ぼくはものがたりを、
 あなたたちは詩を、
 掴んだ。

 ケガしたときにどんな薬を、
 はたまた暗闇で迷ったときにどんな道を、
 あるいはたまたま目の前にあったものを、など、
 その掴みかたは十人十色であっても、
 なんしが必要に迫られて掴んだとゆう事実、
 そこには大した差異などないでしょう。

 と、掴んだことを、
 なんやたいそうなことのように書きましたが、
 ほんまはそないなことどうでもええのです。
 
 むしろ、そないなこと、こだわらんほうがええのです。

 うちのトイレにはペーパーホルダーが三つも付いてます。
 ひとつは和式を洋式に変えるアダプタを使うぼくが新たに付けたんやけど、
 その光景はなんやむっちゃ楽しい。

 便座にまたがるぼくの背中で黙っている二つのホルダーは、
 ホルダーであり、ホルダーのように見えるオブジェでもあり、
 それと同じようにぼくの書いたこのものがたりも、
 ものがたりであり、ものがたりのような詩でもあり、
 そない考えたら、ツールとツールの間にも、また無数の星があり、
 この愛すべきトイレ同様、世界はむっちゃ楽しいもので、
 ぼくもあなたたちもなにを掴むのか、
 はたまた星を作ってまうのか、もうほんま、果てしなく自由や。

 ただ、ただ、ツールなり星なりを使うて人々に触れるとき、
 できれば、できれば、心の皮フまで届いてほしい。
 
 そしたら、そしたら、ほんまむっちゃうれしい。


                        あんどうひさお

■安藤久雄さんってどんな人?
his11
  ー安藤久雄プロフィールー
 1974年 神奈川生まれ ひと 
    ただいま求職中…。
 
無職 | permalink | - | -
■Contents
top
poetry
members link
saruret