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2009年2月号 釋共生(しゃく・ぐしょう)さんより、おてがみが届きました

 こんにちは。はじめまして。私、僧侶です。早いもので、得度して二〇年の歳月が流れました。といいましても、いまはお寺に住んでいるわけではありません。
 その昔、介護の勉強に行ったことがあるのですが、その講習会を主宰しておられた看護婦さんは、いくつもの病棟で働いたあと、病院を辞めてお仕事をしておられました。
 マスコミに取材を受けられてたのですが、いつも「看護婦をやめて、なぜこういう介護の仕事をされるんですか?」と訊かれる。
 そのたびに「私は、いまでも現役のナースよ。ナースは、病院にしかいないという発想を改めて欲しいわ」と応えられたとか。
 坊さんというと、山の中で滝に打たれ、座禅を組んで修業をしているという風に思われますよね。あるいは、お葬式と法事だけしているとか。だから、自分のやってることがおおよそ僧侶の仕事だとは周りの人からは思われないようです。

 私もいろんな職業をお持ちの、いろんな人に出会う機会がありますが、よその業界がどういうことをされているのか、理解できないことがしょっちゅうです。正直、カタカナのご職業はさっぱり見当もつかなかったり。

 その点、詩人と呼ばれる方々は、自分の頭の中の引き出しにうまく整理ができます。もっともその作品をどう思うかと問われれば、これまた引き出しをあっちこっちひっくり返さなくてはいけないかもしれませんけど。

 禅には、「不立文字」という語があります。文字通り、文字を立てずということです。よく、わけのわからない会話をさして「禅問答」のようだなんてことを言いますが、もちろん、禅にもたくさんの経典、語録が伝わっています。
 悟りという体験をことばであらわすことはできないということを、しかし言葉を尽くして語るわけです。

 ということで、自分の仕事をここにつらつら書き連ねても、それは空を漂うちぎれ雲をつかまえて鳥籠に入れるようなもの。それはもはや、雲ではなくて水蒸気かも知れません。ですから、その仕事の内容については、またお目にかかったときお話しさせていただきましょう。あなたのお仕事、作品のこともおうかがいしたいので。その日が、来るのを楽しみにお待ちしています。
              釋 共生(しゃく・ぐしょう) 拝


■釋 共生(しゃく・ぐしょう)さんって、どんな人?



<プロフィール>
釋共生(しゃく・ぐしょう)

僧侶。男性。血液型O。丑年、牡羊座生まれ。宗教の新しい形を、常に模索し続
けている。
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