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2006年3月号 いしくんぼさんより、おてがみが届きました

「人は根無し草?」  いしくんぼ/ニート芸人

ニートで引きこもりだった僕は今ココルームカフェで働いている。
出会いが幾つかあって辿り着いた夢の持てる職場である。
仲間の一人は自分の時間とルールに従って生きている人で羨ましさと
妬めしさを感じたりしている。
引きこもっていた時の僕には湧き上がってこない感情だろうと思う。

大阪の西成区に通称三角公園と呼ばれる場所がある。
三角公園はホームレスの人達の憩いの広場となっている。
夏には祭りがあって相撲大会などがある。
去年初めて見に行ったとき、つい飛び入り参加してしまった。
相手は当然ホームレスである。
昔の引きこもっていた時の僕なら嫌がっただろうが今の僕は何故か平気だ。

今月から三角公園横のアパートに一人暮らしをすることになった。
一人暮らしは初めてではないが生まれ育った家を出ての一人暮らしは
まったくの初めてである。
人は生まれてから高校や大学、専門学校などを卒業し働き出すまでは親元で暮らしたり、
親の庇護のもと実家近くか、学校近くで簡単な一人暮らしなどをする。
一人暮らしと言っても心は親の根と繋がっているのだ。
完全な自立、独立とは違う。
日本の社会で自立、独立している人がどれだけいるだろうか。
大概の人は悪ぶってみたり理屈を捏ねてみても親や世間体などと結ばれている。
僕はといえば唯一の肉親である姉は遠方で母子家庭として子供二人を育てている。
両親は居ない、育て親の祖母もすでに故人である。
頼るにしても身直に誰もいない天涯孤独の身の上である。
最悪の状況の中で僕はニートから脱出し社会に出ていった。
作家さんの事務所にボランティアスタッフとして働き出したがボランティアでは
生きて行けない。
世の中そんなに甘くはなかった。
行き詰まった自分の脳裏である決意が湧いてきた。
芸人になろう!今の僕にはそれしかない。
何故そんな決意をしたのか?
それは作家さんの事務所にイベント会場が併設されていてイベントを独自開催していたからで
スタッフは無料で借りれてイベントの収益を半分分けできるからだ。
もちろん芸人など簡単になれるとしても人に認められる芸人になるのは難しい。
ところが、そんな僕を暖かく見守ってくれる人が複数居たのだ。
そんな人の温かさに触れて今僕は生きて行けていると思う。

ニート芸人と標榜する僕にスポットライトが当たる時が来た。
cocoroomでNEET de Happy?というニートのイベントを開催した。
メディアも興味を示して取材してくれて新聞の朝刊の地域欄に大きく取り上げられたのだ。
その効果もあってか当日は満員で舞台の横にもお客さんを居れるほどだ。
ニートを支援したい人、ニート本人、ニートに興味のある人、僕のファンなどが
入り交じって会場は熱かった。
20年間自宅に引きこもっていた事実が僕にとって僅かでもプラスに作用しているのか。
このイベントを生きる為の仕事の基幹として頑張って行こうと決意しています。
頑張らない存在であるニートが頑張ろうとする時ニートが武器になった希有なケースだろうね。

世の女流詩人の皆様へ。
人間どんな惨めでも、生きていれば逆転はあるものです。
一方向からしか物事を判断できない人に批判されたとしても負けてはいけない。
継続は力だと思う。


□いしくんぼさんってどんなひと??



中学卒業から20年間自宅に引きこもり1度も働いた事がなく
養母であった祖母が他界し金銭的な問題から社会に出て行く事に!
幾多の困難を経てニート芸人として現在を生きる。



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