2009年3月号 北村守道さんより、おてがみが届きました
蘭の会のお嬢様方、明けましてオメデトウございました。
今年も残すところあと300日ほどとなってしまいましたがいかがお過ごしでしょうか?
挨拶がおくれました、ワタクシ、上の者で本名怪人丸ぼーず男と申します。お初にお目にかかります。(と、いうことにしておいてください。→一部の方々・・・)
さて、皆様がこれをお読みになっているころは花見シーズン、花粉シーズン真っ盛りといったところでしょうか。かく言うワタクシも、ある事件をきっかけとして毎年花粉症に悩まされております。しかし、この時期となりますと、渓流釣りが解禁し、山の中に入ってゆかねばなりません。泣き言は言っていられないんであります。(でもへっぽこなワタクシは未だ、繊細で美しい渓流魚達を釣り上げたことは一度もないのですがね。その結果がいつも余計に涙腺を刺激しているわけであります。)
ワタクシが幼少の頃は、釣りというものはむっさいオッサン及びジジイと少年の趣味でありました。それも男限定。しかし、近年はその風潮も変わり、より多くの女性のアングラー(釣り人のことをカタカナ表記しますとこうなります。)を見かけるようになりました。大抵は、誰か男の方と一緒、ということが多いのでありますが、時折晩御飯のおかずを確保しに徒党を組んだオバチャン達が、黄色い声をあげながら仕掛けを海の彼方までぶっ飛ばしているのを見たりすると、時代の変化を感じさせられます。
特に最近では、鮭マス類を対象とした管理釣り場が各地で賑わいをみせております。昔風に言えば『釣り堀』のこの世界ですが、ルアーフィッシングやフライフィッシングを対象としている所なんぞも多く、餌をつける、といった行為に抵抗を感じる方でも気軽に楽しめやすくなっていたりします。また、鮭マス類の管理釣り場の場合は、餌を使う場合でもイクラや人造の餌などで釣りになることもあって、他の釣り場と比べても女性層が多いなぁ、と感じたりすることも少なくないですね。そして、そういった釣り場では、トイレなどの施設なども綺麗だったりして『これが釣り場?』とびっくりしてしまうことなんかもあります。レンタルの道具なんかも揃っていたり、持ち帰って食べてみようかな、といった場合には魚を捌く場所がきちんと完備されて居たりしますから、お手軽に始められます。え?釣りってどうやるかがわからない?ですって?ご安心を。そういった方々の為に、大きな管理釣り場ですと、インストラクターを常勤させていたりするところもありますから、そういった所で始めれば、まず投げることから教えてくれたりします。マー、たいていの場合ですけどね、管理釣り場のオーナーさんに『釣り自体が初めてなんです』と相談なされば、色々と教えてくれます。(それは事故などのトラブルからお客さんを守る、という意味も含まれるんですがね。)もう釣り場もスキー場と一緒。なんとなく釣りでもやってみたいな・・・と思われることがありましたらば、こういう施設をお使いになってはいかがでしょうか?
って・・・ちゃうちゃう!釣りの宣伝をしてどないすんのっちゅうねん!
まぁ、でもですよ。
釣りをしなくとも、水辺に立つ、ただそれだけでなんとも言えぬ満足感が得られるときがあります。
特に、この時期なんかですと海も湖も川も透明度が高く、いつもは気がつかなかった世界に気がつくだなんてことが少なくありません。(偏向機能付のサングラスをお持ちの方は、それを着用して覗き込みますと、驚くほどに水中がくっきりと見えたりすることがありますよ。)運がよければ、私達とは全く別の世界の住民達の生活の一部を垣間見えたりもします。時々、そうした行為に対して不服そうにこちらを睨みつけるやなヤツもいたりしますが。ワタクシはそういった世界を覗き込むのが好きです。当初の釣りをする、という目的をすっかり忘れて、観察だけのために一日を費やしてしまった日なんかもあったりします。彼ら、彼女らがいったい何を思っているのか、それを知るすべはありません。ですから、ワタクシは本人(いや魚だから本魚か?)には大変申し訳ないのですが、それを勝手に解釈し、文字という絵の具を使って描いてみるのが大好きなのです。
ワタクシは合唱という世界を通じて詩とであったのですが、合唱においては実際に歌う曲において何故その詩があったのか、そしてなぜこの曲がつけられたのか、ということが常に団員達を悩ませました。様々な意見が飛び交うわけなのですが、結局のところそのどれもが『正しい』可能性を持ち、また『間違っている』可能性を持っていました。そしてそのどれもに『転換』できる可能性を持っていました。それらは何の確証もない、めいめいの勝手な確信でしかありませんでしたが、いつしか詩の言葉と言葉の行間に潜む『情報の穴』というものによって、ワタクシ達自身が創作させられていることに気づいたのでありました。
そんな勝手な妄想もございまして、今ではこんな創作の連鎖のよりスタートライン側に立ってみたい、なんてことを夢見ながら詩を描いています。
ですから、ワタクシにとって詩とは伝えたいのではなく、創らせたいものです。書くのではなく、描くでありたいなぁ、と漠然と思ったりしています。それは釣り人の性なのかもしれません。釣り人ってやつぁ、リアルな妄想家なんですよ。険しい顔なのかどうかは分かりませんが、水面をじっと見つめている釣り人を見かけましたらそっとしてあげてください。(道具をいじっていたりして水面から目が離れていたら別ですけど。)そうした彼らは見えない水中のことをこと細かく創造し、その中で泳がせている魚達に向かってあれやこれやを考えているのですから。文字を泳がせるのか、魚を読むのか、その対象は違えども原理は同じような気もします。そしてこれをお読みの皆様も、機会がありましたらば偏向機能付のサングラス片手に、近くの水場を覗きに行ってみてください。そこにはきっと小さな無限大が待っていることでしょう。
それでは縁がありましたらば、水辺ででもお会いしましょう(そのとき、ボクに足がなくても逃げないでくださいね)サヨナラ参画、また来て死角!・・・
■北村守道さんって、どんな人?
<プロフィール>
北村 守通 (きたむら もりみち)
本名 怪人丸ぼーず男
高知県出身 1971年2月5日午後10時頃生まれ。18歳+241ヶ月。マッドサイエンティストになることを夢見て平成三年に上京するも、夢かなわず平成二十年に高知に帰り、清く正しいマッドサイエンティストの育成を目指して塾の教壇に立つようになる。東京で在学中に男声合唱団に所属(パートはバリトン、またはトップテノール、または"裏")していた際に表現の限界を感じ取り、よりオリジナルを表現できる方法として詩を描く、という方向に足を踏み入れるようになる。朗読のデビューはNIFTY現代詩フォーラムのビデオ詩集『詩覧ぷり』。その際に読むときの言葉の音階を変化させた『がせオペラ』を取り入れたところ、意外にも評判が悪くなかったので、以降チョーシに乗ってこの方法での朗読をメインとしていく。
趣味は釣り、釣具の製作、オリジナル料理の研究(一応、死人は出ていない。昇天はある!)、他、まぁなんです、モノを創るということでしたらなんでも興味を持つタイプです。あ、忘れてた、水泳とボーリングも趣味までとは言えないとはいえ好きだ。
所属団体
関東方面:
オルタナティブ3(朗読 紀ノ川つかさ、 テルミン演奏 大西ようこ、 ベルカントもどきの謎のヴォーカルによる異色ユニット)8月14日に 神楽坂に出現決定?
高知県内:
カイノナマエ (高知県の詩人の会の一つ。月一ペースで、第三日曜日を中心に様々な形式の朗読ライヴを実施。詩誌も発行中。)
詩のボクシング高知支部 草の根運動で頑張ってます。今年から何故かお手伝いに参加
最新情報はhttp://poboko.blog95.fc2.com/をチェック!
ネットの棲家
mixi
http://mixi.jp/show_profile.pl?id=4394620
本名で日記を楽しんでいます。ほとんど意味のない釣り日誌?遊びに来てや!
現代詩フォーラム
http://po-m.com/forum/myframe.php?hid=596
現実社会の中の世を忍ぶ仮の名前 北村守通 であっけらかんと色々描いています。
■北村守道さんの詩を読んでみよう!
山椒魚
ハンザギは
のっそりと
重たい頭をもたげた
ハンザギは
のっそりと
重たい腰をあげた
今宵
最期の一晩に
挨拶まわりをしましょうと
鮎も
岩魚も
カワゲラも
すっかり寝ついた
丑三つ時に
一軒一軒
頭を下げた
眠れる河に
頭を下げてまわった
これが最期の一呼吸
お月様も見納めだ
青く輝く
お月様
一足お先に参ります
貴方はいつまで
お達者で
まぁるい月が
映った
まんまるの
ハンザギの瞳は
もう
ゆっくりと
曇り始めていた
しばらくそのまま浮かんだあとで
ちょっと
首を傾けて
岩屋に戻った
蛙の歌も戻った
###########################################
詩を描き始めた初期の作品で、拙作詩集(私家版)『幻影海峡』にも収録しています。初出はNIFTY『現代詩フォーラム』。読んでいただけるとおわかりかと思いますが、井伏鱒二の『山椒魚』を読んでボクの中で再生産されたものを詩にした言わば、『二次的創作物』とでもいうべき存在です。ガセオペラ(笑)として朗読の際には、話し言葉ではない音階へと改装し、用いてきました。更にユニット『オルタナティブ3』においては楽器による演奏も加わり、作者自身の思惑を超えた世界(笑)へと昇華していると思っています。
ガセオペラ(朗読音源)
今年も残すところあと300日ほどとなってしまいましたがいかがお過ごしでしょうか?
挨拶がおくれました、ワタクシ、上の者で本名怪人丸ぼーず男と申します。お初にお目にかかります。(と、いうことにしておいてください。→一部の方々・・・)
さて、皆様がこれをお読みになっているころは花見シーズン、花粉シーズン真っ盛りといったところでしょうか。かく言うワタクシも、ある事件をきっかけとして毎年花粉症に悩まされております。しかし、この時期となりますと、渓流釣りが解禁し、山の中に入ってゆかねばなりません。泣き言は言っていられないんであります。(でもへっぽこなワタクシは未だ、繊細で美しい渓流魚達を釣り上げたことは一度もないのですがね。その結果がいつも余計に涙腺を刺激しているわけであります。)
ワタクシが幼少の頃は、釣りというものはむっさいオッサン及びジジイと少年の趣味でありました。それも男限定。しかし、近年はその風潮も変わり、より多くの女性のアングラー(釣り人のことをカタカナ表記しますとこうなります。)を見かけるようになりました。大抵は、誰か男の方と一緒、ということが多いのでありますが、時折晩御飯のおかずを確保しに徒党を組んだオバチャン達が、黄色い声をあげながら仕掛けを海の彼方までぶっ飛ばしているのを見たりすると、時代の変化を感じさせられます。
特に最近では、鮭マス類を対象とした管理釣り場が各地で賑わいをみせております。昔風に言えば『釣り堀』のこの世界ですが、ルアーフィッシングやフライフィッシングを対象としている所なんぞも多く、餌をつける、といった行為に抵抗を感じる方でも気軽に楽しめやすくなっていたりします。また、鮭マス類の管理釣り場の場合は、餌を使う場合でもイクラや人造の餌などで釣りになることもあって、他の釣り場と比べても女性層が多いなぁ、と感じたりすることも少なくないですね。そして、そういった釣り場では、トイレなどの施設なども綺麗だったりして『これが釣り場?』とびっくりしてしまうことなんかもあります。レンタルの道具なんかも揃っていたり、持ち帰って食べてみようかな、といった場合には魚を捌く場所がきちんと完備されて居たりしますから、お手軽に始められます。え?釣りってどうやるかがわからない?ですって?ご安心を。そういった方々の為に、大きな管理釣り場ですと、インストラクターを常勤させていたりするところもありますから、そういった所で始めれば、まず投げることから教えてくれたりします。マー、たいていの場合ですけどね、管理釣り場のオーナーさんに『釣り自体が初めてなんです』と相談なされば、色々と教えてくれます。(それは事故などのトラブルからお客さんを守る、という意味も含まれるんですがね。)もう釣り場もスキー場と一緒。なんとなく釣りでもやってみたいな・・・と思われることがありましたらば、こういう施設をお使いになってはいかがでしょうか?
って・・・ちゃうちゃう!釣りの宣伝をしてどないすんのっちゅうねん!
まぁ、でもですよ。
釣りをしなくとも、水辺に立つ、ただそれだけでなんとも言えぬ満足感が得られるときがあります。
特に、この時期なんかですと海も湖も川も透明度が高く、いつもは気がつかなかった世界に気がつくだなんてことが少なくありません。(偏向機能付のサングラスをお持ちの方は、それを着用して覗き込みますと、驚くほどに水中がくっきりと見えたりすることがありますよ。)運がよければ、私達とは全く別の世界の住民達の生活の一部を垣間見えたりもします。時々、そうした行為に対して不服そうにこちらを睨みつけるやなヤツもいたりしますが。ワタクシはそういった世界を覗き込むのが好きです。当初の釣りをする、という目的をすっかり忘れて、観察だけのために一日を費やしてしまった日なんかもあったりします。彼ら、彼女らがいったい何を思っているのか、それを知るすべはありません。ですから、ワタクシは本人(いや魚だから本魚か?)には大変申し訳ないのですが、それを勝手に解釈し、文字という絵の具を使って描いてみるのが大好きなのです。
ワタクシは合唱という世界を通じて詩とであったのですが、合唱においては実際に歌う曲において何故その詩があったのか、そしてなぜこの曲がつけられたのか、ということが常に団員達を悩ませました。様々な意見が飛び交うわけなのですが、結局のところそのどれもが『正しい』可能性を持ち、また『間違っている』可能性を持っていました。そしてそのどれもに『転換』できる可能性を持っていました。それらは何の確証もない、めいめいの勝手な確信でしかありませんでしたが、いつしか詩の言葉と言葉の行間に潜む『情報の穴』というものによって、ワタクシ達自身が創作させられていることに気づいたのでありました。
そんな勝手な妄想もございまして、今ではこんな創作の連鎖のよりスタートライン側に立ってみたい、なんてことを夢見ながら詩を描いています。
ですから、ワタクシにとって詩とは伝えたいのではなく、創らせたいものです。書くのではなく、描くでありたいなぁ、と漠然と思ったりしています。それは釣り人の性なのかもしれません。釣り人ってやつぁ、リアルな妄想家なんですよ。険しい顔なのかどうかは分かりませんが、水面をじっと見つめている釣り人を見かけましたらそっとしてあげてください。(道具をいじっていたりして水面から目が離れていたら別ですけど。)そうした彼らは見えない水中のことをこと細かく創造し、その中で泳がせている魚達に向かってあれやこれやを考えているのですから。文字を泳がせるのか、魚を読むのか、その対象は違えども原理は同じような気もします。そしてこれをお読みの皆様も、機会がありましたらば偏向機能付のサングラス片手に、近くの水場を覗きに行ってみてください。そこにはきっと小さな無限大が待っていることでしょう。
それでは縁がありましたらば、水辺ででもお会いしましょう(そのとき、ボクに足がなくても逃げないでくださいね)サヨナラ参画、また来て死角!・・・
■北村守道さんって、どんな人?
<プロフィール>
北村 守通 (きたむら もりみち)
本名 怪人丸ぼーず男
高知県出身 1971年2月5日午後10時頃生まれ。18歳+241ヶ月。マッドサイエンティストになることを夢見て平成三年に上京するも、夢かなわず平成二十年に高知に帰り、清く正しいマッドサイエンティストの育成を目指して塾の教壇に立つようになる。東京で在学中に男声合唱団に所属(パートはバリトン、またはトップテノール、または"裏")していた際に表現の限界を感じ取り、よりオリジナルを表現できる方法として詩を描く、という方向に足を踏み入れるようになる。朗読のデビューはNIFTY現代詩フォーラムのビデオ詩集『詩覧ぷり』。その際に読むときの言葉の音階を変化させた『がせオペラ』を取り入れたところ、意外にも評判が悪くなかったので、以降チョーシに乗ってこの方法での朗読をメインとしていく。
趣味は釣り、釣具の製作、オリジナル料理の研究(一応、死人は出ていない。昇天はある!)、他、まぁなんです、モノを創るということでしたらなんでも興味を持つタイプです。あ、忘れてた、水泳とボーリングも趣味までとは言えないとはいえ好きだ。
所属団体
関東方面:
オルタナティブ3(朗読 紀ノ川つかさ、 テルミン演奏 大西ようこ、 ベルカントもどきの謎のヴォーカルによる異色ユニット)8月14日に 神楽坂に出現決定?
高知県内:
カイノナマエ (高知県の詩人の会の一つ。月一ペースで、第三日曜日を中心に様々な形式の朗読ライヴを実施。詩誌も発行中。)
詩のボクシング高知支部 草の根運動で頑張ってます。今年から何故かお手伝いに参加
最新情報はhttp://poboko.blog95.fc2.com/をチェック!
ネットの棲家
mixi
http://mixi.jp/show_profile.pl?id=4394620
本名で日記を楽しんでいます。ほとんど意味のない釣り日誌?遊びに来てや!
現代詩フォーラム
http://po-m.com/forum/myframe.php?hid=596
現実社会の中の世を忍ぶ仮の名前 北村守通 であっけらかんと色々描いています。
■北村守道さんの詩を読んでみよう!
山椒魚
ハンザギは
のっそりと
重たい頭をもたげた
ハンザギは
のっそりと
重たい腰をあげた
今宵
最期の一晩に
挨拶まわりをしましょうと
鮎も
岩魚も
カワゲラも
すっかり寝ついた
丑三つ時に
一軒一軒
頭を下げた
眠れる河に
頭を下げてまわった
これが最期の一呼吸
お月様も見納めだ
青く輝く
お月様
一足お先に参ります
貴方はいつまで
お達者で
まぁるい月が
映った
まんまるの
ハンザギの瞳は
もう
ゆっくりと
曇り始めていた
しばらくそのまま浮かんだあとで
ちょっと
首を傾けて
岩屋に戻った
蛙の歌も戻った
###########################################
詩を描き始めた初期の作品で、拙作詩集(私家版)『幻影海峡』にも収録しています。初出はNIFTY『現代詩フォーラム』。読んでいただけるとおわかりかと思いますが、井伏鱒二の『山椒魚』を読んでボクの中で再生産されたものを詩にした言わば、『二次的創作物』とでもいうべき存在です。ガセオペラ(笑)として朗読の際には、話し言葉ではない音階へと改装し、用いてきました。更にユニット『オルタナティブ3』においては楽器による演奏も加わり、作者自身の思惑を超えた世界(笑)へと昇華していると思っています。
ガセオペラ(朗読音源)